「匠」の集団として知られる老舗企業

大阪府にあるパイテックという企業は、創業70年以上にわたって大型ロールや、機械などに使用するモーター・シャフトといった製品を作り続けてきました。その分野は製鉄や製紙、化学、エネルギー、食品など多岐に及び、他社では実現できないような「超大型」と「高精度」を強みにモノづくりを続けてきたといいます。そんなパイテックを含むサクライグループは、「西のサクライ」として業界内で高い地位を確立。上は北海道、下は九州まで、名だたる大企業がパイテックの技術を頼りにしてるのだそうです。

パイテックのモノづくりは、産業ロールから超精密ポンプ軸やシャフトなど、主に「丸モノ」と呼ばれるものだといいます。「より精巧に、より高品質に。」をテーマに、創業以来一貫して重工業対応の超大型加工技術とミクロン単位の超精密加工技術を培ってきたそうです。

超大型加工技術として、パイテックでは特に大口径ロール・長尺シャフトを得意としています。普通、6,000mmを超えると加工が困難になり、精密さが維持できなくなってしまうと言われているシャフト製作では、最長20,000mmもの長尺に対応。パイテック独自の加工技術や、必要となる機械設備の導入に加え、実際に作業をする職人さんの高い技術力が必要となり、誰にでもできるような作業ではないのだそうです。

それに対し、ロール加工については基本的には機械設備の性能が対応できる範囲に大きく影響するのだそうです。そのためパイテックでは、主要設備プラス周辺設備も整えることで最大加工径は2,100φまで対応しているといいます。また、パイテックでは鏡面ロールと呼ばれる円筒鏡面加工や、高面粗度加工といった表面加工にも高い精度で対応することができるといいます。

シャフト製作での「長尺対応と高精度加工」、ロール加工での「大型ロール加工とハイクオリティ」の両立がパイテックの強みであり、たくさんの顧客の要望を実現する“匠”の技術なのだそうです。

一般的に、「ロール」や「シャフト」と言われても何のことだかピンとこないという人も多いかもしれません。しかしパイテックの製品は、大型船舶のシャフトや発電所のタービン、橋、原子力発電所のポンプ主軸など、日本の暮らしに欠かせないものに使われているのだそうです。特に原子力発電所の部品などはわずかなズレも許されないシビアな世界でしょう。確かな技術と実績を併せ持つ、日本のモノづくりを支えてきた企業といえるのではないでしょうか。

グループ企業を活かした柔軟性

高い技術力でロール加工・シャフト製作などを強みに展開しているパイテックは、伸明ロール工業とともに、桜井鉄工所を中核とするサクライグループの一員です。サクライグループでは、主に取り扱う製品を3社(4工場)で分担する体制を敷いてるようです。
たとえば、ロール加工では中型ロールを桜井鉄工所が、小型ロールをパイテックの大阪工場・大型ロールをパイテック上月工場が、その他ロールを伸明ロール工業が担当するなど、それぞれ得意とする分野を分担することで高い専門性と技術力を追求していることが伺えます。

そんなサクライグループでは、NC化(数値制御)の推進など、効率の良い生産システムを構築していると言います。NC化を進めることにより人的な生産管理の省略化・無人化を図り、一人が多数の台を持つこと基本に、確実で効率的な生産性を獲得しているようです。

パイテックの会社情報

そして、日頃から昼夜2交代制による量産体制を敷くことで、生産能力向上を図っているそうです。こういった効率のよい生産体制により、パイテックを含むサクライグループでは短納期化を実現。さらに、突発的な緊急案件にも柔軟に対応できるよう、桜井鉄工所・パイテック・伸明ロール工業の3社がグループ間で業務を振り分け、連携し合う体制が整っているのだそうです。これにより、緊急案件に必要な設備機械が使用中であった場合でも、必要なだけの生産能力を確保することができるといいます。グループ3社の持つ生産能力を柔軟に活用できるグループの総合力で、1社単独では不可能な柔軟性を実現。短納期化に結び付けているのだそうです。

そして、パイテックのもう一つの特徴的なサービスとして、ロジスティクスが挙げられます。サクライグループは、2トン、3トン、3.5トン、8トン、25トンと、様々な大型自社トラックを所有しているそうです。この自社トラックを活用し、グループ内で仕上げた製品を直接顧客の元へ配送。製造から納入まで自社で完結させることにより、夜間配送や即時配送など、顧客の都合に応じた納入を実現しているのだそうです。

高い技術力による高品質な製品を、短納期・自社配送によって届ける。配送中や受け渡し時のトラブルなども回避でき、緊急の依頼などにも対応してもらえるとあれば、顧客の安心も大きいのではないでしょうか。付加価値の高い製品や技術を、迅速かつ適正価格で提供することを強みにしているパイテックならではの取り組みと言えそうですね。

老舗企業だからこそのワンストップサービス

創業以来70年以上もの間、ロール加工・シャフト製作一筋に取り組み、その技術とノウハウを積み重ねてきたサクライグループは、先見性のある機械設備や最新技術の導入にも積極的に取り組んできたといいます。
 
そういった企業努力により、パイテックを含むサクライグループのサービス領域は現在、材料調達を除くほぼすべての工程にまで到達。研削から鏡面研磨、旋盤、フライス、バランス、仕上げといった加工工程はもちろん、その後の検査、納入搬送までの全てがグループ内で完結する一貫生産体制が実現しているそうです。つまり、顧客側は材料となる丸棒を用意さえすれば、あとはパイテックが製品にして届けてくれるのを待つだけということです。間に他社を介さないワンストップサービスにより、コストの削減や短納期の実現、工程管理の省略といった大きなメリットもあり、顧客満足度を更に高める一因にもなっているといえるでしょう。

また、少し変わった方面として、パイテックではロール・シャフト製品の補修や再生サービスも展開してるようです。表面についてしまった傷や、軸の痛みなど、顧客の手元にある「もう使えない」ロールやシャフトを、再び使用できる状態へ生まれ変わらせることができると言います。パイテックの機械設備と優れた加工技術で、ダメージを受けた製品を補修したり、別の製品へと再生させたりすることで、顧客のコスト削減や環境対応などの面で役立っているといいます。研削から旋盤、バランスマシーン、プラノミラー、ネットワークなどを駆使することで、鍍金や溶射、肉盛りを実現。それにより、ダメージ箇所の修復や全く別の製品へと再生するこのサービスは、年々補修・再生依頼も増えているとのことなので、うまくニーズを捉えたサービスだといえるのではないでしょうか。

長尺・大口径対応、高精度加工、短納期化、ワンストップサービス、補修・再生…。ロール加工・シャフト製作一筋に取り組んできたパイテックでは、様々な面から製品の高品質化やサービスの付加価値向上に努めていることが見受けられました。「今最も求められているものは何かを的確につかみ、高品質なサービスへ結びつけることが肝要」と考えるパイテックでは、既成概念を取り払った柔軟な感性と高度な独自技術を活かしたサービスが強みだといいます。さまざまな分野から高い評価を獲得しているパイテックであれば、ユニークな取り組みも安心して期待できるかもしれませんね。

徹底した品質管理と技能継承

パイテックが作る製品の中には、原子力発電所のポンプ主軸など、わずかな誤差も許されないシビアな公差が要求されるものも少なくないといいます。パイテックではそんな1,000分の1mmの世界で顧客のニーズを叶えていくために徹底した品質管理体制と、たゆまぬ人材育成が行われているそうです。 

まず、品質管理体制では加工精度を向上させるため、様々な面からアプローチしているのだそうです。国家技能検定の取得や国際規格ISOの取得、トータルシステムワークの改善、最新機械設備の導入などが挙げられています。パイテックの高精度加工は様々な施策によって裏付けられているといえるでしょう。

また、ミクロン単位の世界で追求するパイテックでは、作業環境にも細心の注意が払われているのだそうです。パイテックでは合金やチタン、セラミック、ファインセラミック、ガラス、テフロンなど、様々な素材に対応したサービスを展開しています。そんな素材の中には、気温により体積や長さが熱膨張し、増減してしまうものもあるようです。目に見えない程の小さなズレでも、ミクロンの世界に取り組んでいるパイテックでは完成品の精度に影響を与えてしまうのだといいます。そのため、パイテックでは加工環境や測定環境の管理、測定機器の管理を徹底。厳格な管理体制のもと自社検査を徹底することで、シビアな公差にも対応しているのだそうです。

パイテックが得意とする大口径ロール・長尺シャフトですが、その仕上げにはやはりどうしても機械ではなく人の手でなければ実現不可能な領域もあるといいます。長年にわたって大口径ロール・長尺シャフトの製作に取り組んできたパイテックを含むサクライグループであっても、現在その最終仕上げが行えるスタッフは一部の限られた職人とのこと。それだけ難易度の高い仕事であるということでしょうが、パイテックでは次世代の“匠”の育成とオリジナルの加工技術の追求にひと際注力して取り組んでいるといいます。

最重要かつ最難関といえる最終仕上げを任されている“匠”による実践レクチャーや技術研究会、常日頃から加工技法の見直しなどを積極的に行い、現場スタッフのスキル向上を図っているのだそうです。技能継承を会社が主体となって積極的に展開し、優れた加工技術を次世代へ受け継いでいくことで、高い技術力を維持・向上させているようです。その結果、パイテックは円筒度や面粗度といった精密さに関わる評価項目において業界トップクラスの精度を実現。各産業がこぞって重要部品の製作を依頼する背景には、このような取り組みがあるといえるでしょう。

社会的責任を担うモノづくり

大型の壁紙やガラス、フィルムなどを成形するためのロールや、様々な機械の心臓部となるモーター、シャフトなどの高性能回転体を手掛けるパイテックは、大阪にある会社です。同じく大阪にある桜井鉄工所・伸明ロール工業とともにサクライグループとして、日本の発展を支えてきたといいます。サクライグループの中核となる桜井鉄工所は昭和16年創業の老舗企業であり、サクライグループは「西のサクライ」として各産業から高精度な加工技術などを高く評価されているのだそうです。

そんなパイテックが名だたる大企業から選ばれる理由には、長尺・大口径対応と高精度加工の両立、ワンストップサービスと短納期化など、複合的なサービスが挙げられるでしょう。

パイテックが得意とするシャフト製作では、製品が長くなればその分振れやしなり、たわみなどが発生しやすくなります。そのため、6,000mm以上はとたんに難易度が跳ね上がり、緻密な加工が難しくなると言われているのだそうです。そんな中でパイテックは最長20,000mmもの長尺に対応。一般的に難易度が高くなると言われている長さの実に3倍以上です。長尺シャフトの製作に最適な機械設備の導入やパイテック独自の加工技法、そしてなにより、それらを扱う職人の高い技術力があって実現しているといいます。独自の加工技法は企業秘密とのことですが、それにより長尺対応と高精度加工を同時に実現し、多くの顧客の要望に応えているのだそうです。

また、もう一つの事業であるロール加工では、大口径加工に対応した研削機・旋盤機を導入するだけでなく、品物を吊るすためのクレーンなど周辺設備も大口径に対応させることで、最大加工径2,100φの産業ロール加工に対応。ロール加工の場合は、主に機械設備のスペックが重要となってくるそうですが、周辺機器も大口径に対応させることでより大きなロールの加工を実現しているのでしょう。大経口ロール対応に加えて、鏡面ロールなどの表面加工にも高い精度で対応できることがパイテックの強みなのだといいます。特に製鉄や製鋼、製紙、化学といった分野に用いられる超大型ロールの製作が強みとして挙げられており、その製作実績は他社の追随を許さないと自負するほどだといいます。

大型対応と加工技術の精緻さで、「丸モノ」加工としては業界トップクラスの技術を誇るパイテック。その製品は大型船舶のシャフトや橋、発電所のタービンなど、日頃から目にするようなものではありませんが、社会的な重責の一翼を担っている企業であることは間違いなさそうです。